研究概要 |
中性スフィンゴミエリナーゼ1は,環境ストレスに伴うアポトーシスに関与する。その細胞内シグナル伝達機構を調べるため,ストレス応答性MAPK(SAPK/JNK)システムへの関与について調べた。熱ストレスを曝露すると,本プロテインキナーゼは,細胞死へと誘導するシグナル伝達経路を始動した。リコンビナントJNK1タンパク質を使ったin vitroキナーゼアッセイの結果,nSMase1のセリン残基(S-270)にリン酸化が生じた。熱ストレス条件下は,内因性のJNKキナーゼ活性の上昇に伴って,nSMase1活性が急速に増大した。一方,変異型JNK1ドミナントネガティブを過剰発現させた細胞では,熱ストレスによるリン酸化が抑制された。以上の結果から,熱ストレス誘導性のアポトーシスは,JNKによってnSMase1へのリン酸化が引き金となって,nSMase1が活性化する機構が推定される。
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