申請書の研究計画では、2011年度は、課題1についての補足調査と、課題2の現地調査を中心に行い、研究成果を学会等で公表する、としていた。実際には、大分、新潟等で現地調査を行うとともに、理論分析を併進させて研究を終え、現在は最終的な公表に向けて準備を進めている。 現地調査に関しては、新たな事例の掘り起こしを行うとともに、前年度の事例の追跡調査を行った。具体的には、新潟県十日町市松之山町で「地域売店」には稀な一定水準の人件費を支払いながら黒字経営を維持している「ふれあい浦田店」の調査により、売店運営の効率化・円滑化と地域の主体性、および地域外組織等との連携のあり方について明らかにした。同じく十日町市の川西町「(株)あいポート仙田」を事例に、農業生産法人の多角化の現状と、売店の兼営に向けた手順について検討した。 大分県豊後大野市では、売店の運営について、現地で地域住民とともに2回実証実験を行った。地域のニーズの所在や運営方法、地域内外の組織、活動との連携のあり方について整理した。 理論的研究については、中山間地域等直接支払制度や、2011年度より本格実施となった農業者戸別所得補償制度、および農地・水保全管理支払交付金制度の役割と課題、ならびに売店運営等の多角化の際の活用方法について検討した。 なお研究成果のうち、理論的研究の一部は6月の農業問題研究学会の2011年度春期大会で報告し、現在その内容を同学会の学会誌に投稿中である。また実態分析の部分は、2012年度秋の同学会への投稿を準備している。
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