本研究は、近年の農業政策の中で推進される食育や都市農村交流の具体的手法として注目される農業体験活動に焦点を当て、取組主体である農業者と中心的な参加者である児童・生徒の双方を分析対象とした実証的研究から、取組の効果分析と成立要因の解明を目的としている。 本研究の目標は、第1に農業者による農業体験活動への参画実態の解明を通じて、農業体験活動の継続と農業経営の発展を促すための要因抽出を行うことである。第2に、農業体験活動の参加者(児童・生徒など)が活動への参加を通じて受けた教育効果について継続的な検証を行うことで、取組主体が期待する教育効果が持続・定着するための要因解明を検討するものである。 平成22年度は、取組目的、運営主体が異なる3事例を対象に、農業体験活動の取組実態と課題点の解明を試みた。まず、観光事業者および地域内自治組織における取組として、京都府京丹後地域の調査を行った。この調査結果は、『田舎へ行こうガイドブック-明日香と京丹後のグリーンツーリズム-』として一般書として刊行している。 次に、自治体による食育活動と学校給食での地産地消活動と関連する取組として、群馬県高崎市での調査を行った。この結果は、『学校給食における地産地消と食育効果』において「学校給食における食育」の章を分担執筆している。 農業生産活動に伴う農業体験の福祉的効果と教育効果に着目した事例調査として、栃木県足利市のココ・ファームワイナリーを対象に現地調査を実施した。この調査結果は、地域農林経済学会の招待報告として発表を行った。
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