研究課題/領域番号 |
22780214
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
坂本 誠 鳥取大学, 地域学部, 非常勤講師 (00535304)
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キーワード | 農山村コミュニティ / コミュニティ・ガバナンス / 集落間連携 / 中山間地域 / NPO法人 / 住民自治 / 市町村合併 |
研究概要 |
本年度は、協議会やNPO法人等新たな地域活動組織により集落を超えた広がりで地域づくりを実践している地区を抽出し、運営に際して既存の集落間関係にどう配慮しながら運営しているかを中心に、事例に即して調査した。調査事例は、既存の集落間関係の根拠となった枠組み別に、【(1)平成合併前の旧町村】【(2)昭和合併前の旧町村もしくは小学校区】の2つに分類される。 (1)で取り上げたのは、,平成合併後、合併前の旧町村を単位にNPOや株式会社など法人格をもった組織を設立することにより合併前の住民自治や地域運営を維持しようと取り組んでいる事例である。具体的には、NPO法人養生の郷(鳥取県旧関金町)、NPO法人がんばらまいか佐久間(静岡県旧佐久間町)、株式会社三州足助公社(愛知県旧足助町)、NPO法人まちづくり山岡(岐阜県旧山岡町)を調査した。その結果、いずれの組織も地域における正統性の確保、および行政(合併後の新市)との関係に配慮を払っており、その成否が組織としてのパフォーマンスを大きく左右していることが判明した。 (2)として、昭和合併前の旧町村もしくは小学校区単位の枠組みでの地域活動を調査した。具体的には、NPO法人プロジェクト南からの潮流による南さつま市大坂地区に対する支援、高知県梼原町初瀬地区・松原地区合同による過疎地有償運送事業、鳥取県倉吉市高城地区における過疎地有償運送事業、NPO法人夢未来くんま(静岡県浜松市熊地区)等である。その結果、旧町村もしくは小学校区単位の既存の地縁組織の有無ならびにこれら既存地縁組織による支援の有無が、新たな地域活動組織の地域における正統性の確保に影響を与え、最終的には活動のパフォーマンスを大きく左右していることが判明した。 市町村合併による住民自治の希薄化や従来の地域運営の継続性が懸念されるなか、以上の取り組みの成果と課題の検証は、研究上だけでなく政策上も大きな意義があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初、平成24年度に予定していた、既存の集落間関係をふまえた新たなコミュニティの成立条件を整理する作業を先取りして進めることができた。平成23年度に予定していた地域構造がもたらす影響の考察については、やや遅れているものの、総合的に見れば、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、既存の地域構造がもたらす影響を、事例調査やアンケート調査によって解明する。加えて、本年度は3カ年の研究計画の最終年度であり、3カ年の調査結果を総合化し、本研究の最終目標である集落間連携再編による新たなコミュニティの成立条件の解明に努める。
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