研究課題/領域番号 |
22780215
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
島 義史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・水田作研究領域, 主任研究員 (10414781)
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キーワード | 農業への新規参入 / キャリア分析 / 橋渡し役 / 人材育成 / 支援 |
研究概要 |
農業への新規参入者の支援を行う「橋渡し役」像の解明に向け、聞き取り調査によって把握した「橋渡し役」の役割をメンタリング機能に着目して分類整理した。さらに、新規参入者の経営ステージをスタートアップステージと経営基盤確立ステージに区分し、「橋渡し役」からのメンタリングの受領状況(質問紙調査による5段階評価)をステージ間で比較した。対象は、1999年~2007年に就農したイチゴ作新規参入者9名とその「橋渡し役」農家である。 「橋渡し役」のメンタリング機能の分類と具体例(一例)をキャリア論の先行研究に基づき次のように整理した。(1)「スポンサーシップ」JA・市場関係者・消費者などとの仲介。(2)「コーチング」イチゴ生産・販売に関する知識・スキルの提供や問題点の指摘。(3)「保護」育苗の失敗のカバー。(4)「表出」試験的な取り組みや経営成果の紹介の機会を提供。(5)「挑戦的な仕事の提供」より高度な栽培技術の実施の提案。(6)「役割モデル」経営管理の内容や仕事に対する姿勢の参考。(7)「カウンセリング」営農面での相談、不安の解消。(8)「受容と承認」生産管理、販売管理の内容を正当に評価。(9)「友好・友情」インフォーマルな付き合い、視察旅行。 「橋渡し役」からのメンタリングの受領状況を分析した結果、ステージが進むに従い全体的にメンタリングの受領は減るが、ステージに関わらずスコアが変化しない(1)「スポンサーシップ」や(6)「役割モデル」などの機能とステージが進むとスコアが高まる(5)「挑戦的な仕事の提供」などの機能があり、ステージが移行しても変わらないコア的機能と経営ステージに応じて変化する機能を持つ「橋渡し役」像が明らかになった。また、(3)「保護」や(8)「受容と承認」は新規参入者のスコアが「橋渡し役」のスコアを下回った。この点は「橋渡し役」育成の重点になると考えられるなど育成課題に関する知見も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度計画に沿って調査、分析が行われている。また、分析結果を取りまとめて研究成果を適宜公表しており、平成23年度は査読付論文を2件公表した。以上から、研究計画に対して概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は研究期間の最終年度であり、メンタリング機能に着目して把握した農業への新規参入者の「橋渡し役」像とともに、新規参入者のキャリアに沿った「橋渡し役」のメンタリング提供のあり方や自治体や農協などと「橋渡し役」との関係を踏まえた「橋渡し役」の育成課題を整理する。「橋渡し役」を中心とした農家グループなどが新規参入者の受け入れを組織的に行うことによって、新たな「橋渡し役」が確保されている事例がみられる。このような事例の調査から「橋渡し役」の育成を促す条件の分析を加え、学会発表、論文投稿を行う予定である。
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