| 研究概要 |
畜産業において家畜に投与された動物用抗菌剤(抗生物質)が糞尿等を通じて環境に放出され,河川水等からの検出が報告されている。畜産廃水・廃棄物に残留する動物用抗菌剤の除去法として磁気分離法の開発を目的とした。動物用抗菌剤の磁化率は小さいために磁気シーディング(磁性付与)が必要になる。本年度では,電気化学反応による磁気シーディング法を検討した。
テトラサイクリン系抗生物質およびフルオロキノロン系合成抗菌薬を対象に,電気化学反応による磁気シーディングを試みた。これらの抗菌性物質は,金属イオンと錯化合物を形成する性質を持つことが知られている。電気化学反応によって溶出された鉄イオンと抗生物質が結合し,さらに強磁性物質を添加することによって,永久磁石による磁気分離が可能であることが示された。畜産廃水・廃棄物からの分離除去を想定し,搾乳施設廃水や牛乳(廃棄乳)に添加したテトラサイクリン系抗生物質の磁気分離を試みたところ,除去率は特に溶液pHに大きく影響することが示された。さらなる除去率の向上には,溶液組成特に共存物質の影響の軽減や,添加する磁性ビーズの開発が必要である。
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