本研究では粉末食品の高品質化とその製造プロセスの効率化を目的として、流動層造粒におけるバインダとして微細水滴を含んだ水蒸気(アクアガス)の利用を試みる。粉末食品は微粉末の状態では使用時に湯や水に溶解する際にランピング(ダマ)を生じやすいため、溶解性を高めるため多くの場合、造粒操作により顆粒状に調製されるが、粉末食品の高品質化と製造コスト削減のため、バインダ添加量(加水量)の低減が課題となっている。本年度は流動層造粒機の改良を行い、通常の液体バインダおよびアクアガスを切替えての噴霧を可能とするための装置を作製し、流動層造粒機に設置した。 試験材料はモデル粉末食品としてコーンスターチ80%およびデキストリン(DE 7~10)20%を混合し、平均粒子径D_<50>が約18μmの物を用いた。試験では1000gの試料を約1.0m/s、80℃の空気流で流動させバインダを噴霧した。初めに従来法による最適な造粒条件の導出を行うため、グアガム0.15%水溶液をバインダとして、10~40g/minの間の噴霧速度で400gまでバインダを添加し顆粒の成長過程を解析した結果、20g/minまでは噴霧速度の増加にしたがいバインダ総添加量に対する顆粒粒子径の増大が見られ、また試料水分が20~25%に達すると流動層が崩壊することが確認され連続的に一定量の噴霧を行った場合の最終顆粒粒子径は水滴添加料が200~400gで約100~150μmとなった。またアクアガスを水蒸気40%水滴60%で約60g/minで噴霧した結果、水滴添加量が約160gで平均粒子径D_<50>が150μmの顆粒を生成することが可能であった。
|