研究課題/領域番号 |
22780233
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
五月女 格 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品工学研究領域, 任期付研究員 (90469833)
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キーワード | 農産加工 |
研究概要 |
本研究では粉末食品の高品質化とその製造プロセスの効率化を目的として、流動層造粒におけるバインダとして微細水滴を含んだ水蒸気(アクアガス)の利用を試みる。粉末食品は微粉末の状態では使用時に湯や水に溶解する際にランピング(ダマ)を生じやすいため、溶解性を高めるため多くの場合、造粒操作により顆粒状に調製されるが、粉末食品の高品質化と製造コスト削減のため、バインダ添加量(加水量}の低減が課題となっている。本研究ではアクアガスを用い効率的に水滴を粉末に付着させることで加水量を低減した造粒プロセスの構築を目指す。 本年度は昨年度に作製した流動層造粒機にアクアガスバインダを導入するための装置の改良を行った。アクアガスは0.2~0.4MPaに加圧された熱水と水蒸気をノズルから等エンタルピー的に噴射することにより発生させるが、アクアガス噴射の開始時と終了時に液ダレが発生し粗大な顆粒が発生する問題が生じていた。圧縮空気を使用しアクアガスの流路制御を行うことでこの問題を解決する装置を作製した。 また、従来の液体バインダとアクアガスバインダを使用した場合の造粒メカニズムの差異について明らかにするため、コーンスターチおよびデキストリンを材料として造粒中の流動層含水率変化を解析しバインダ水滴の粉末への付着状況について明らかにした。液体バインダを使用した場合においては、流動層の含水率は恒率乾燥と減率乾燥の並列モデルで表現可能であり、噴霧されたバインダ液滴のうち一部は粉末に付着し残りは付着せずに蒸発していることが推測された。原料1000gに対するバインダの噴霧速度を10~40g/minまで変化させたところ、噴霧速度が増加するにしたがい粉末に付着せずに蒸発するバインダの割合は減少した。またアクアガス造粒では粉末に付着せずに蒸発する水滴の割合が少ないことが確認され、これが効率的な造粒が可能である理由と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画にもとづき、流動層造粒にアクアガスその他のバインダを用いた際の造粒メカニズムの解明、およびそれぞれのバインダを用いた際の顆粒成長プロセスの解析に着手し、試験はほぼ計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はアクアガスの各種条件(噴霧圧力・温度、水と水蒸気の混合比等)がコーンスターチおよびデキストリンの造粒プロセスにおよぼす影響について解析を行い、アクアガスを用いた造粒において少ない加水量で顆粒を成長させることが可能な条件を探索する。またそれぞれのバインダおよび諸条件にて造粒された顆粒について流動性等の評価を行い、各種造粒条件が顆粒の性状におよぼす影響について明らかにする。
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