研究概要 |
本年度は昨年構築した基本システムを用いて屋外実験を行い,動作確認および,アルゴリズムの検証を行った。田植機の自動走行を想定し,前行程で移植した苗列との距離を一定に保ちつつ,平行な経路を維持する事を目的とした。 1)ステレオビジョンシステムの位置精度評価:一般的にステレオビジョンシステムにおいては,左右カメラのマッチングに時間がかかる。しかし,今回対象とする田植え作業では苗の位置のみがわかれば良い。そのため,まず二値化を行い,左右の画像から,面積や幅,高さを用いて類似度を計算し,その重心位置から視差を求め,奥行き距離を求めた。位置精度を測定したところ,横方向のRMS誤差は16.1mm,最大で34.3mmであった。 2)DGPSの位置精度評価:静止状態および,走行状態においてDGPSの精度評価を行った。参照データとしてRTK-GPSを用いた。その結果,誤差の平均は時間によって変化することがわかった。位置のRMS誤差は静止状態においては位置のRMS誤差は1.53m,標準偏差は0.276mとなった。また直進走行時においては位置のRMS誤差は0.76m,標準偏差は0.44mとなった。 3)GPSコンパスの方位精度評価:静止状態,直線走行,円旋回の3条件でGPSコンパスの精度評価を行った。静止状態ではRMS誤差は0.24°,標準偏差は0.15°であった。直線ではRMS誤差は0.5°,標準偏差は0.4°であった。円旋回では,出力に時間遅れが見られたため,RMS誤差が6.5°と大きくなった。 4)ポジショニングの精度評価:車両を走行させながら,カメラで地上を撮影し,疑似苗列とカメラの距離を連続的に計測した。その結果,横方向の誤差はRMS誤差で68.2mmとなった。 5)シミュレーションによるアルゴリズムの検証:カルマンフィルターを組み込んだ走行アルゴリズムにより,前行程で走行軌跡が湾曲した場合でもその情報を記録しておくことで次工程では修正を行い,直線走行を行うことができることが確認された。
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