研究概要 |
本研究では,画像解析(RGBカラー画像およびハイパースペクトル画像)を利用した放牧草地のセンシングシステム構築を目指した。このセンシングシステムの構築により,植生,生育量および成分の放牧草地における不均一性などの放牧草地生態系環境情報のセンシングが可能となる。 【小スケール画像の取得】複数年度の画像を取得するために,前年度と同様に携行型撮影システムを用いて,イネ科牧草,マメ科牧草,雑草,採食行動による可食地および不食地の画像を取得した。 【フィールドスケール画像の取得】前年度に試作した車両走行型撮影システムにより,放牧草地全面の画像を取得した。 【推定モデルの改良】前年度に作成したモデルの精度の検証を行い,有効性を検討した。また複数年度のデータによる検討から,さらに汎用性の高い推定モデルに改良した。なお,このとき解析において使用する画像は,携行型撮影システムによって取得した画像である。 【圃場マッピングシステムの開発】作成した推定モデルから,圃場全体の草種構成の分布および可食地・不食地の分布を示すフィールドマップを作成した。ここでは,作成したそれぞれのモデルと車両走行型撮影システムにより取得した画像を用いて,放牧草地の圃場マップを作成した。また,囲場マップに位置情報も加えて,定量的かつ視覚的に圃場の不均一性を示すマップを作成した。これらのマップの作成には,膨大な画像情報を使用するため,効率的な処理アルゴリズムを開発した。 放牧草地では,季節変動に伴う草量の変動,広大な面積規模による草地管理の難しさなどから,経年化に伴う草地の荒廃が問題に挙げられる。本研究で構築したセンシングシステムにより,放牧草地の植生変動(イネ科・マメ科牧草,雑草,枯死,裸地など)を把握することが可能となったので,これらを持続的な放牧草地管理のための有用な情報として活用することが期待できる。
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