研究課題
本研究は放牧など自給粗飼料のみによる赤肉産生システムの詳細を解明することを目的とし、共役リノール酸(CLA)が骨格筋細胞におけるレプチンとミオスタチンのクロストーク作用に及ぼす影響に焦点を当て、放牧など自給粗飼料のみで生産した日本短角種牛(N)および北里八雲牛(N×サレール種(S)×N:NSN)の増体および枝肉成績、栄養状態、ホルモン動態、筋組織の特性を解析した。NおよびNSNにおける増体ならび枝肉成績では大きな違いは認められなかったが、NSNにおいて皮下脂肪が薄い傾向にあった。また、5月から10月(舎飼い期→放牧期→舎飼い期)の血中成分および成長ホルモン(GH)の濃度変動は放牧期間依存的に血中AST、γGT、NEFA濃度が上昇傾向、TGおよびGHが減少傾向にあること、さらに品種間で血中濃度に違いがあることが明らかとなった。したがって、放牧により代謝に関与する因子が変動し、また品種間で代謝様式に差異がある可能性が示唆された。NおよびNSNの筋線維型構成割合は胸最長筋で同等であったが、NSNの半膜様筋および胸腹鋸筋はI型筋線維の構成割合が低く、II型筋線維の構成割合が高い傾向にあった。Nの胸腹鋸筋では大型I型筋線維のID型が特徴的に観察されてIIA型筋線維が優勢であったが、NSNではその特徴が弱い傾向にあった。また、胸最長筋、胸腹鋸筋、半膜様筋の筋線維の太さに品種による有意な差は認められなかった。さらに培養筋芽細胞株の筋分化誘導における10(E),12(E)-CLAおよび9(E),11(E)-CLAの添加は10(E),12(E)-CLAで筋管形成に影響がなく、9(E),11(E)-CLAで筋管形成を濃度依存的に抑制し、CLAが筋管形成過程で筋形成抑制因子であるミオスタチン発現に関与することが明らかとなった。
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Endocrinology
巻: 151 ページ: 4765-4775
http://www.kitasato-u.fsc.jp/gyouseki/index.html