研究課題
本課題は、「畜産資源を由来とする血管再生因子の探索と作用機序の解明」を目的として実施した。EPC(血管内皮前駆細胞)は、血管幹細胞であり、損傷した血管内皮細胞の修復や血管形成に重要な役割を担っている。自家EPCの移植は血管再生治療として着目されており、その効果の高さから、現在、薬事承認を目指して治験が進められている。しかし、この方法は患者への穿体的負担やEPC細胞の培養の煩雑さなど、問題も多い。我々は先の研究で、未利用資源を起源とする畜産食品のヒトでの経口摂取がEPCの増殖能を高める結果を得た。そこで、本年度は4%NaCl負荷食で飼育した高血圧自然発症ラット(SHR;8週齢雄)を使い、各種畜産資源(鶏コラーゲン、豚コラーゲン、カゼイン)加水分解物を6週間投与した後の末梢血EPCを採取して活性評価を行うと共に、血漿中の各種疾患マーカー(Beta-2 Microglobulin, Cystatin-C, Kidney Injury Molecule-1, Osteopontin, Tissue Inhibitor of Metalloproteinases-1, Vascular Endothelial Growth Factor)の測定を行った。今回行ったSHRの末梢血EPCはいずれも増殖が悪く、比較評価には至らなかったため、現在Rat骨髄由来EPCにSHRから採取した血漿を添加して、増殖活性の比較を行っている。また、各種疾患マーカーの測定では、Cystatin-C, Osteopontinでコントロール群に比べC-COP投与による有意差が認められた。また、心臓と腎臓からm-RNAを回収しているので、各種供試食摂取によるVE-cadherinやVEGF、CD34、Endothelin-1の発現変化をRT-PCRで現在解析中である。
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日本家政学会誌
巻: 61 ページ: 765-773