研究概要 |
平成22年度はDnmt3bΔ5の性質について、主に1)と2)の体外での解析実験を行った。 1)生化学的メチル化活性: 共同研究者である阪大・田嶋正二博士、末武勲博士らとバキュロウイルスを用いたタンパク発現系により、昆虫細胞(sf9)にDnmt3bΔ5タンパクを生成させ、DEAEセファロースカラムにて精製した。Dnmt3bΔ5タンパクを基質であるAdoMetおよび標的DNA配列であるpoly(dGdC)-poly(dGdC)と混合し、1時間培養後、メチル化変化を測定した。その結果、Dnmt3b1Δ5はDnmt3b1に比べてメチル化活性が低く、生体内と同じNaCl濃度ではほとんどメチル化活性を持たなかった。以上より、Dnmt3bΔ5を主に発現している細胞は低メチル化に移行する可能性が示唆された。 2)強制発現(培養細胞): Dnmt3bΔ5をpCAG-IRES-EGFPベクターに組み込み、Dnmt3bΔ5強制発現ベクターを設計した。これらを初期胚とほぼ同じ性質を持つES細胞などに導入して強制発現させた。ES細胞から抽出したDNAはバイサルファイト処理により非メチル化シトシンをウラシルに置換後、インプリント遺伝子(Peg1/Mest,Snrpn,Igf2r,H19など)についてメチル化解析(COBRA法およびバイサルファイトシーケンシング)を行ったが、インプリント遺伝子のメチル化状態に大きな変化はなかった。こられ以外の遺伝子については、現在検討中である。
|