表記課題を達成するための平成22年度の期間で、下記のような実験を進めた。 1.Tmem48/Ndclと相互作用するタンパク質の同定 マウス精巣においてTmem48/Ndclと結合するタンパク質を酵母Two-Hybrid法を行うことで探索することを試みた。その結果、マウス精巣においてTmem48/Ndclと結合する可能性のあるタンパク質として29種のタンパク質が同定された。 2.相互作用タンパク質の発現時期および発現部位の解明 実験1により特定された遺伝子の発現を半定量的RT-PCR法よりマウスの各臓器および胎仔において発現している組織を調べたところ、4種の遺伝子が精巣で特異的に発現していることがわかった。次にこれら4種について精子形成ファーストウェーブの精巣における発現パターンを調べた。その結果、1種が減数分裂の初期から発現する遺伝子、2種が第一分裂前期パキテン期の細胞が観察される時期に発現が始まる遺伝子、そして円形精子細胞が観察される時期に発現が始まる遺伝子であることが判明した。 3.Tmem48/Ndclの核の形態維持に関する解析 各遺伝子型の胎仔より線維芽細胞を初代培養し、核染色により核の形態を調べたところ、sks/sksでは、約60%の核に形態異常が観察された。さらに坑LAMINB1抗体を用いて核膜の形態を免疫蛍光染色により調べたところ、sks/sks個体では約60%において核膜の一部が欠損しているもしくは網目状になっていることが判明した。次に、核の形態維持の異常によりアポトーシス頻度が亢進しているかTUNEL法により調べたところ、いずれの遺伝子型においてもTUNEL陽性細胞は同等であることがわかった。また、線維芽細胞の増殖活性に影響しているかをMTTアッセイ法により生化学的に測定したところ、sks/sksの細胞の増殖活性は、sks/+個体および+/+個体の50~60%程度であることがわかった。
|