本研究は、血管新生時の白血球の血管内皮細胞への接着や血管外浸潤に対するEph/ephrinの機能を解析することを目的としており、今年度はin vivoでの機能解析を行うにあたり必要な基礎データを取得し、さらにin vivo解析のための準備・予備実験を行った。まず、生体における血管でのEph/ephrinの発現・局在を詳細に解析するため、in situ hybridizationの実験系を立ち上げた。その結果、(1)成体の正常血管内皮細胞ではephrinの高い発現が見られること、(2)Ephについてはサブクラスにより発現しているものとしていないものがあることが明らかになった。次に機能解析のための遺伝子抑制実験の立ち上げを行った。Eph遺伝子の発現を抑制すると予測されるsiRNAサイト(3カ所を選出)を組み込んだshort hairpin RNA発現ベクター(non-viral)を構築し、COS-7細胞(Eph遺伝子を強制発現したもの)を用いてRNAi効果の判定を行うとともに、最も有用なsiRNA配列の選定を行った。さらにin vivo解析で用いるレンチウイルスベクターの実験系を立ち上げた。レンチウイルスベクターには選定を行ったsiRNAを発現するようにshRNA配列を組み込んでウイルス粒子作製を行うとともに、cos-7細胞および単球系細胞株であるJ774.1細胞を用いてウイルス感染力の測定を行い、作製したウイルス粒子に細胞感染力があり、有用であることを確認した。
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