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2010 年度 実績報告書

脳由来神経栄養因子の新奇作用:メチル水銀誘導性神経細胞死促進作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22780271
研究機関麻布大学

研究代表者

坂上 元栄  麻布大学, 獣医学部, 准教授 (60348589)

キーワード脳由来神経栄養因子 / 神経細胞死 / 小脳顆粒細胞 / TrkB / メチル水銀
研究概要

脳由来神経栄養因子(BDNF)はグルタミン酸(Glu)誘導性神経細胞死を促進することが報告されている。メチル水銀(MeHg)には,Gluの神経毒性発現機序と同じく,内因性抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)減少が関与する。そこで,本年度は,BDNFのMeHg誘導性神経細胞死促進作用の機序を解明することを目的として,BDNFによるMeHg誘導性神経細胞死促進作用とGSH減少との関連性の検討を目的として実験を行った。ラット小脳神経細胞初代培養細胞(CNs)を用いて,二日の前培養後,BDNF,MeHg,Glu及びGSH合成阻害剤ブチルスルフォキシド(BSO)を処理し,細胞生存率および細胞内GSH量を測定した。MeHg,BSO,Glu処理により有意に細胞生存率が減少し,BDNFの共処理によりさらに減少した。MeHg,Glu,BSO単独処理群の細胞内GSH量は,いずれも対照群に比べて有意に減少し,BDNFとの共処理群では,GSH量はさらに減少した。
BDNFは受容体TrkBを介して作用し,BDNFによるMeHg誘導性神経細胞死促進作用もTrkBを介する(Sakaue et aL.,2009)。従って,上記のGSH量測定に加えて,このBDNFの細胞死促進作用に関与するTrkB下流の細胞内シグナル伝達系を明らかにするため,MAPK系およびPI3/Akt系の関連についてそれぞれErk1/2およびAktのリン酸化状態をwestern blot法で検討した。BDNF処理によりErk1/2およびAktのリン酸化が亢進したが,BDNFによるMeHg誘導性神経細胞死促進作用を説明する結果とはならなかったことから,他の細胞内シグナル伝達系の関与が考えられた。以上のことから,BDNFによる神経細胞死促進作用にはBDNFによる細胞内GSH量減少の促進が関わる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] BDNFのメチル水銀誘導性神経細胞死促進作用における細胞内GSHの関与の可能性2010

    • 著者名/発表者名
      牧武宏, 坂上元栄、金子拓矢、小澤秋沙、関口仁美、邉見奈津子、門脇絵里奈、山本雅子、有嶋和義
    • 学会等名
      日本獣医学会第150回学術集会
    • 発表場所
      帯広畜産大学(帯広)
    • 年月日
      2010-09-18

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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