研究課題/領域番号 |
22780273
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
八田 岳士 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・細菌・寄生虫研究領域, 研究員 (00455304)
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キーワード | フタトゲチマダニ / Babesia gibsoni / バベシア原虫 / 介卵伝播 / マイクロアレイ |
研究概要 |
バベシア症の病原虫であるバベシア原虫を媒介するマダニにおいては、中腸や卵巣で産生される生物活性分子が、マダニの吸血・繁殖に関わる恒常性を維持していることに加え、原虫の増殖・分化をも制御していることが分かってきた。しかし、バベシア症の感染源である幼ダニへの原虫伝播機構は未解明のままである。本研究では、産下卵が幼ダニに発育する間に、いつどこでどのようにして、原虫を保有し増殖させているのかを明らかにするために、申請者が単離に成功している卵の胚伝播制御分子(ETCM)について、原虫感染による発現応答の詳細かつ包括的な解明を図る。明らかにされたETCMの機能を利用し、マダニ胚で作用するマダニ及びバベシア原虫双方の成長・発育を阻害する薬剤(TBGR剤)など新たなマダニ及びバベシア症制御技術の開発に資することを、主要な目的とする。 本年度は、原虫感染卵の効率的な選抜方法の確立を試みた。摘脾により重篤なバベシア症を発症させた実験犬にマダニを吸血させた。得られた飽血個体より8個体選抜し産卵させ、Babesia gibsoni原虫の有無を確認したところ、重度感染卵は1個体の産卵後期においてのみ産下された。このようなことから、感染卵の効率的収集に関しては、マダニの個体差が問題となることが分かった。次に個体差がイヌ(宿主)の免疫等の状態に依存しているのではないかと考え、宿主要因を除外すべく人工吸血実験系の開発に着手した。今後は人工吸血実験系をもちいた原虫感染実験により、効率的に感染卵を得る予定である。また、卵発育(胚発生)に関連するマイクロアレイ搭載遺伝子の発現挙動についても明らかにする必要があるため、その点についても解明していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロアレイを用いたマダニ胚発生に関連するトランスクリプトーム解析および人工吸血実験系の確立しており、次年度においては感染卵の分子基盤についての分子カタログを整備することが可能と想定される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は人工吸血実験系をもちいた原虫感染実験により、効率的に感染卵を得る予定である。また、卵発育(胚発生)に関連するマイクロアレイ搭載遺伝子の発現挙動についても明らかにする必要があるため、その点についても解明していく予定である。
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