Campylobacter jejuni 81-176株が鶏腸管内において、FabGの顕著な発現亢進を示したことを鑑み、当該因子の機能性について着目した。fabG遺伝子欠失株を作成し、脂肪酸組成分析を行ったところ、当該株を構成する脂肪酸は、野外株に比べて、C18:1の減少やC14:1の増加を認めた。運動性・増殖性については、野外株と同等であったが、細胞付着能は著しい減少を示した。二次元電気泳動法による比較解析により、野外株と同変異株の間で表層蛋白分子の顕著な変動は認められなかったことから、脂肪酸構成変化自体が細胞付着性の変化として顕れたと想定された。中鎖脂肪酸等の経口投与は本菌の鶏における応用的制御方法としてこれまでに報告されており、鶏腸管内における本菌と腸管上皮細胞間の相互作用に対して、脂肪酸が関与を示すと目される。今後は、病原体-宿主間の相互作用にかかる脂肪酸の機能性と役割について精査し解明していきたい。
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