申請者がこれまで集積した精密有機合成に関する知見を基盤に細胞内タンパクもしくは核内DNAを選択的に化学修飾できる機能性低分子を開発した。当初はタンパク標識化剤の創製を目指していたが、グルタチオン等のチオール官能基との反応性があまりよくなかったことが明らかとなったため、第二の目標であったDNA標識化剤の開発に研究方向をシフトした。 誘導体合成の結果選択した化合物を用いてDNA切断活性の評価を行った。種々の酸性pHの緩衝液中、プラスミドDNAと37℃で24時間培養すると、pHの低下に伴いDNAの切断活性が向上した。またpH 6. 5の緩衝液中、種々の濃度の5を用いて37℃、24時間培養したところ、最小0. 3 mMでDNAの切断が見られ、濃度依存的にDNA切断活性が向上することも確認できた。以上のことから研究計画で提案した方法は有効であることを証明できた。
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