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2011 年度 実績報告書

新しい酸触媒の開発に基づく有機合成反応の高度効率化

研究課題

研究課題/領域番号 22790019
研究機関東京薬科大学

研究代表者

矢内 光  東京薬科大学, 薬学部, 助教 (10408685)

キーワード有機合成化学 / 触媒開発 / ルイス酸 / ブレンステッド酸 / インジウム / 炭素酸 / 多成分反応
研究概要

「有機合成反応の高度な効率化」を目指し,前年度からの研究を精力的に展開した.
まず,炭素酸の化学では,テトラキス(トリフルオロメチルスルポニル)プロパンが,溶液中,逆Michael反応を起こすことを見つけ,NMRを用いて,この反応の平衡定数や標準Gibbsエネルギー変化などを定量化した.この知見を踏まえて,種々のフェノールやアリールエーテルに対して,ビス(トリフルオロメタンスルポニル)メチル基を効率よく導入する手法を開発し,ベンゼン骨格上に複数の炭素酸部位を持つ化合物を合成した.得られた多価炭素酸については,様々な有機合成反応において触媒活性の評価を行い,フログルシノールより得た三価炭素酸が,エステル化反応や,アセタール化反応,Mukaiyamaアルドール反応などの優れた触媒となることを見い出した.
一方,インジウムLewis酸を用いた多成分反応として,アルデヒド,イソシアニド,脂肪族アルコールおよびトリメチルシリルアジドの新規四成分反応の基質適用範囲を明確にすると共に,環状アセタールを用いた分子内型反応の開発に成功した.本系では,環状アセタール基質に対して,イソシアニドのみを作用させると環状エーテル構造を持ったアミドが得られたのに対し,イソシアニドとトリメチルシリルアジドを作用させるとテトラゾールが選択的に得られた.
さらに,ビス(トリフルオロメチルスルポニル)メタンが強酸であることに着目し,自身が酸触媒であると同時に反応基質となる新しい自己促進的な三成分反応を開発した.この成果は,炭素酸を用いた自己促進的な多成分反応が実現できることを意味しており,本研究の一層の進展をもたらす知見である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究は,(1)高活性な酸触媒の開発と(2)温和な酸触媒を活用した多成分反応の開発を主眼としている.既に,極めて高活性な有機酸触媒として多価炭素酸を見い出し,インジウムLewis酸を温和な酸触媒として用いる幾つかの多成分反応の開発にも成功している.さらに,当初,触媒としての機能のみに着目していた炭素酸が,「自身の持つ酸触媒作用によって,生成物となる自己促進的な多成分反応」という予期しなかった成果も得られている.

今後の研究の推進方策

研究期間の最終年度であることから,これまでに合成した炭素酸の利用範囲を拡大するため,触媒性能評価を中心に研究を進めていく.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] A regioselective synthesis of poly-substituted aryl triflones through self-promoting three component reaction2011

    • 著者名/発表者名
      Hikaru Yanai
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 47 ページ: 7245-7247

    • DOI

      DOI:10.1039/C1CC12093J

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Copper-free defluorinative alkylation of allylic difluorides through Lewis acid-mediated C-F bond activation2011

    • 著者名/発表者名
      Hikaru Yanai
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters

      巻: 52 ページ: 2997-3000

    • DOI

      DOI:10.1016/j.tetlet.2011.03.148

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An effective method to introduce carbon acid functionality : 2,2-bis(trifluoromethanesulfonyl)ethylation reaction of arenes2011

    • 著者名/発表者名
      Hikaru Yanai
    • 雑誌名

      Chemistry-A European Journal

      巻: 17 ページ: 11747-11751

    • DOI

      DOI:10.1002/chem.201102023

    • 査読あり
  • [学会発表] 新しい三成分反応を基盤とするトリフリルアレーン類の位置選択的合成2012

    • 著者名/発表者名
      矢内光
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] ビス(トリフリル)エチル化反応を用いた超強酸触媒の開発2012

    • 著者名/発表者名
      矢内光
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] 超強酸触媒の開発を指向したアレーン骨格へのビス(トリフリル)メチル基の導入法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      矢内 光
    • 学会等名
      第35回フッ素化学討論会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2011-09-27
  • [学会発表] Defluorinative alkylation of allylic difluorides directed to an efficient synthesis of functionalized fluorinated alkenes2011

    • 著者名/発表者名
      Hikaru Yanai
    • 学会等名
      242nd American Chemical Society National Meeting
    • 発表場所
      Denver, CO, USA
    • 年月日
      2011-08-30
  • [学会発表] Post-synthetic modification of arenes by bis(triflyl)methyl group directed to development of superacid catalysts2011

    • 著者名/発表者名
      Hikaru Yanai
    • 学会等名
      242nd American Chemical Society National Meeting
    • 発表場所
      Denver, CO, USA
    • 年月日
      2011-08-28
  • [学会発表] 多置換アリールトリフルオロメチルスルホンの合成2011

    • 著者名/発表者名
      矢内 光
    • 学会等名
      第1回フッ素化学若手の会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      2011-08-01
  • [学会発表] 強酸性を呈する多価C-H酸の効率的合成法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      矢内 光
    • 学会等名
      第9回次世代を担う有機化学シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-05-27

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公開日: 2013-06-26  

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