研究概要 |
ヨード環化反応は環構築法としてのみならずヨウ素部位の更なる官能基化が可能であることに加え、ヨウ素試薬は安価で環境に優しいことから、官能基化された分子骨格を構築する上で魅力的な手段の一つと言える。私はヨウ素試薬のヨード化能と酸化能の二つの性質に着目し、ヨード環化反応により得られる環化体の酸化的芳香化を反応条件によって制御できることを見出した。すなわち本手法は化合物の作り分けを可能とし、これまでにピラゾール、イソキサゾール及びピロールとそれらの2, 5-ジヒドロ体(ピロールの場合は2, 3-ジヒドロ体)の柔軟な合成法へと展開した。さらに環化体のヨウ素部位は多様性の増幅を可能とすることから、この方法論をCOX-2阻害薬であるvaldecoxibとその2, 5-ジヒドロ体の合成に適用し、その有用性を示すことができた。また本研究過程で、イソシアノフェニルアセタール類のタンデム型転位-カルボアルコキシ化を伴う新規ベンゾオキサゾール合成法を偶然見出した。
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