ニオソームは、非イオン性界面活性剤により構成された二重膜に被われた閉鎖小胞であり、リポソームと同様の構造的な特徴を有する分子集合体であることから、薬物キャリアとしての応用が期待されている。そこで本研究では3種類の異なる基本骨格ならびに様々な物理化学的特性を有する計10種類の非イオン性界面活性剤を用いて種々のニオソームを調製し、それらの物理化学的特性および体内動態特性に関して多面的な評価を加えた。さらに抗がん剤ドキソルビシン(DOX)を内封したDOX内封ニオソームを調製し、それらの体内動態特性ならびに抗腫瘍活性に関しても評価を加えた。検討の結果、ニオソーム表面をPEGで修飾することにより、静脈内投与後の血中滞留性が顕著に増大することが明らかとなった。さらにこれらPEG修飾ニオソームにDOXを内封した各種製剤を調製し、固形がんモデルマウスに静脈内投与したところ、経時的な腫瘍組織への移行と有意な抗腫瘍効果が認められた。
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