研究概要 |
本年は、機能性添加剤が溶液中で機能性添加剤がどのような可溶化構造をとっているのか、さらには医薬品とどの官能基を介して相互作用しているかを精査した。NMR測定により、糖転移ヘスペリジンによる医薬品の顕著な可溶化効果が数ナノメートルの複合体形成に由来することが示唆された。糖転移ヘスペリジンが一定濃度以上に水中に存在する場合に、4つの分子から形成される集合体を形成し、この集合体が医薬品分子と相互作用する機構を提唱した(J.Pharm.Sci.,100,4421-4431,2011)。また、糖転移ステビアによる医薬品の顕著な可溶化および吸収性増大効果は、糖転移ヘスペリジンによる効果とは異なっており、15分子程度の糖転移ステビア分子が'ミセル様構造'を形成し、この構造内に医薬品が取り込まれることにより、著しい可溶化現象をもたらすことを蛍光測定法を用いて推定した(Euro.J.Pharm.Sci.,43,71-77,2011) αG-ヘスペリジンの医薬品ナノ粒子形成のための粉砕助剤としての可能性について検討したところ、糖転移ヘスペリジンの存在下で、粉砕操作のみで医薬品ナノ粒子を効率的に調製することに成功し、グリベンクラミド・ナノ粒子を調製しラットへの経口投与した結果、同量の原末投与に比べて、血糖降下作用の増強および持続化が認められた(Euro.J.Pharm.Biopharm.,79,559-565,2011)
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