研究概要 |
フルオレセインイソチオシアネート(FITC)を修飾したポリアリルアミン(FITC-PAA)およびポリエチレンイミン(FITC-PEI)を合成して、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルフリーラジカル(TEMPO)を修飾したポリアクリル酸(TEMPO-PAcA)と酸化インジウムスズ(ITO)電極上に交互累積膜を調製した。490nmの吸光度が積層操作に依存して増加したことから、交互累積膜が作製できることがわかった。交互累積膜作製後、+0.2-1.0V vs. Ag/AgClの範囲で電位掃引を行い電気応答による膜の崩壊を試みた。その結果、FITC-PAA/TEMPO-PAcAにおいては十分な崩壊が見られなかった。一方、FITC-PEI/TEMPO-PAcAにおいてはサイクリックボルタンメトリのTEMPOの酸化応答が減少して、FITCの吸光度が減少したことから膜の崩壊が確認できた。ITO電極上の様子を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察した。その結果、Rf値は電解前は、9.78±2.67nm(n=6)で電解後1は9.66±0.81nm(n=6)であった。膜厚を調べるために超音波カッターでITO電極に積層され交互累積膜を剥ぎ取って断面をAFMで観察した。その結果、電解前の(PEI/TEMPO-PAcA)_9交互累積膜の膜厚は、22.20±3.26nm(n=12)で電解後の膜厚は9.16±3.26nm(n=6)nmであった。これらの結果から、PEI/TEMPO-PAcA膜が電解によって崩壊することが示された。 次に、電気応答によって崩壊する交互累積膜を利用して電気応答ミクロカプセルの作製を試みた。炭酸アンモニウムとポリスチレンスルホン酸溶液と炭酸カルシウム溶液を混合して、炭酸カルシウム粒子を作製した。その後、FITC-PAAおよびTEMPO-PAcA溶液で交互に処理することで炭酸カルシウム粒子上に(FITC-PAA/TEMPO-PAcA)_4を調製した。さらに、EDTAで炭酸カルシウムを除去して目的の電気応答ミクロカプセルを調製した。作製したミクロカプセルは、蒸留水で洗浄後、ガラス基板上で乾燥してAFMで観察して評価した。その結果、3-5μmのミクロカプセルが作製できることがわかった。
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