近年、有機リン系殺虫剤に替わる農薬として広く利用されている、ネオニコチノイド系農薬の存在実態を明らかにするための分析法を構築した。ネオニコチノイドは蜂群崩壊症候群の原因物質ではないかと考えられていることから、昨年度までに食品としてハチミツを選択し、ハチミツ中に残留するネオニコチノイドの分析法を構築した。さらに、河川水中のネオニコチノイド分析も実施した。前処理に用いた固相抽出法は、一部のネオニコチノイド系農薬で、固相充填剤への吸着が悪く、再検討を行った。 ハチミツ試料においては、Chem Eluteを用いた液液抽出を基本とする固相カートリッジを用いた場合、ニテンピラムなど一部のネオニコチノイド系農薬で添加回収率が低く(10 ng/g添加の場合、26.2±4.8%、1 ng/g添加の場合、22.1±6.1%)、再検討が必要であった。そこで固相カートリッジを含めた抽出条件の再検討を行った。ENVI-Carb/LC-NH2を用いたところ、ニテンピラムの添加回収率は改善された(10 ng/g添加で88.4±4.8%)。 実際の手順は以下のとおりである。ハチミツ5gに水10mLを加え撹拌し、酢酸エチルとアセトニトリルの混液を20mL添加し、液液抽出を行う。2500rpm、5minの遠心分離を行い上層を回収する。この液液抽出作業を3回繰り返し、回収した溶液をエバポレータで濃縮後、トルエン/アセトニトリル混液を加え、ENVI-Carb/LC-NH2に負荷し、トルエン/アセトニトリル混液で抽出後、抽出液をエバポレーターで乾固して、精製水に溶解させた。それをLC-MS/MS測定に供した。 これにより、前述のとおり、ニテンピラムの回収率は改善され、対象としたネオニコチノイド系農薬の添加回収率は、全て80%以上となった。
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