26Sプロテアソームは分解の目印であるユビキチン鎖を付加されたタンパク質を分解する細胞内プロテアーゼであり、すべての真核生物において細胞周期、転写制御、シグナル伝達、変性タンパク質除去などあらゆる局面において必須の役割を果たしている。26Sプロテアソームはタンパク質分解を実行する20Sプロテアソームの両端に、調節ユニットである19S制御因子が会合した分子量約2.5MDaの巨大な複合体であり、70種類以上ものサブユニットが集合することにより形成され、特有の生命現象(神経、免疫、癌、老化)に関わっていることが知られている。我々はプロテアソームの形成を支援するシャペロン分子をいくつか同定し、その形成機序の一端を明らかとしたが、全てを理解できた訳ではない。プロテアソームの形成機構を明らかとするために、第一にlidサブユニットの分子集合機構を解析した。同時にプロテオミクス解析を行いlid形成に関わる未知分子の探索も行った。その結果、フリーのlidにはRpn12が含まれず、Rpn12以外のサブユニットが集合してフリーのlidを形成し、最後にRpn12が組み込まれてlidが形成することを明らかとした。また、形成過程のlidを免疫沈降し沈降物をnano-LCで分離後、タンデム質量分析により結合分子を検索したところ、特異的に結合する分子を同定することはできなかったことから、lid形成はシャペロンを介さずに会合すると考えられる。
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