研究課題
我々は前年度までにおいて、当研究室において作製したGPR41KOマウスを用いて、GPR41KOマウスの表現型を詳細に凋べた。その結果として、GPR41の内因性リガンドである、短鎖脂肪酸投与実験により、短鎖脂肪酸はGPR41を介して交感神経系を活性化し、その結果、エネルギー消費を高めることを明らかにした。また、逆にケトン体の投与や、絶食・糖尿病時においてケトン体はGPR41の短鎖脂肪酸による交感神経活性を阻害することにより、交感神経系を抑制し、エネルギー消費を減少させることを明らかにした。したがって、今年度は、このGPR41を介した交感神経活性化機構について、細胞レベルでの実験を行うことにより、GPR41による交感神経活性細胞内シグナルをの検討を行った。結果、短鎖脂肪酸はGPR41を介し、Gi/o型Gタンパクを活性化し、その3量体のうちの一つであるGβγを介してMAPK経路を活性化する結果として、交感神経細胞の興奮を導くことを明らかにした。今回の研究成果により、腸内細菌代謝産物を認識する脂肪酸受容体GPR41は、食事により生体内で腸内細菌により産生される短鎖脂肪酸を、また、絶食により糖に代わるエネルギー源として産生されるケトン体をGPR41が体内栄養バランスとして認識し、生本内においてのエネルギーバランスを調節するという交感神経を介したエネルギー調節機構を明らかにし、この結果を研究論文として発表した。(Kimura I.et al.Proc Natl Acad Sci USA 2011)
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Proc Natl Acad Sci USA
巻: 108 ページ: 8030-8035
DOI:10.1073/pnas.1016088108
医学のあゆみ
巻: 239 ページ: 170-171
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news data/h/h1/news6/2011/110426 1.htm