植物乳酸菌174Aは、それぞれ単独でも活性を示すが、混合使用によって飛躍的に活性の上昇する、2種類のバクテリオシンbrevicin 174A-βおよび174A-γを産生する。本研究では、本バクテリオシンが如何なる作用によって抗菌活性を示すか、そして本株が如何にして自己防護しているのかを明らかにすることを目的としている。 本年度は、バクテリオシンからのアプローチによる実験を中心として進めた。精製済みのbrevicin両ペプチドを用い、乳酸菌や食中毒菌を含む種々の被検菌に対して、その抗菌スペクトルを解析した結果、多くの菌株において、単独使用時では活性を示さない場合でも、混合時には活性を示すようになった。ちなみに、産生株であるLb.brevis 174Aの感受性変異株においては、brevicin 174A-β単独使用時と比べ、200倍以上の活性の上昇が確認された。一方、抗体を調製するに十分な量のペプチドが得られず、作用点に対する解析については進めることは出来なかった。現在継続して実験中である。 加えて、生合成遺伝子クラスター中に含まれるバクテリオシン様のペプチドであるBreFについて、合成ペプチドを用いてバイオアッセイを行ったところ、抗菌活性は確認されなかった。また、brevicin両ペプチドと混合した場合にも、活性の増加効果は確認されなかった。後述する遺伝子破壊株の取得により、耐性や生合成への影響を今後評価する予定である。 今後必要となる遺伝子破壊株構築実験のため、本株における新たな薬剤耐性マーカーを検討した結果、E.coli由来のクロラムフェニコール耐性遺伝子(クロラムフェニコールアセチル化酵素)が、一般的に同薬剤に対して感受性である乳酸菌に対し、薬剤耐性を付与することが確認できた。現在、breFを含めたクラスター内の遺伝子破壊株の構築を進めている段階である。
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