1.経口免疫寛容を誘導する細胞の同定 これまでに、経口免疫寛容を誘導したマウス(ドナーマウス)の腸間膜リンパ節細胞を、無処置のマウス(レシピエントマウス)に移入することで、レシピエントマウスに免疫寛容が誘導される結果を得ていた。そこで、経口免疫寛容を誘導したドナーマウスの腸間膜リンパ節細胞からFACSAriaIIによって、CD4+CD25+Treg細胞や制御性CD8+細胞、CD4+細胞を分取し、レシピエントマウスに移入し、レシピエントマウスに食物アレルギーを誘導した。その結果、CD4+T細胞を移入したマウスではアレルギーが増悪し、Tregを移入したマウスでは、経口免疫寛容が誘導された。Tregを移入したマウスでは、腸管でのIL-9のmRNAの発現が増強し、また血中のIL-9量も増加したことから、Tregの移入による経口免疫寛容に、IL-9が関与していることが推測された。 2.食物アレルギーの発症に及ぼす食品免疫アジュバントの検討 マウス食物アレルギーモデルを用いて、二酸化ケイ素や安息香酸ナトリウム、合成着色料などの免疫アジュバント作用について評価する。食品添加物は、単独もしくは複数混合して、OVAと同時に経口投与することで、アレルギー応答の増強について検討した。一部の食品添加物で、OVA-IgE、IgG1量の増加が認められたが、食物アレルギー性の下痢や全身性のアナフィラキシーの増悪は認められなかった。 3.食物アレルギーの発症における母子免疫の検討 食物アレルギーに対して経口免疫寛容を誘導した母親マウスを妊娠・出産させ、仔マウスの食物アレルギーの誘導の程度を検討した。経口免疫寛容を誘導した親マウスから生まれた仔マウスにおいて、実験的食物アレルギーを発症することを確認した。
|