研究課題
申請者はこれまでに、キシロース含有N型糖鎖の生合成にかかわる候補遺伝子(AGO61)の遺伝子欠損マウスは胎生致死であることを見出している。本年度はより詳細な検討を実施し、胎生11日におけるAGO61欠損マウスの発達が顕著に遅れており、特に脳構造の形成が遅延していることを明らかにした。一方、これまでの研究により、成体の脳においては神経細胞に特異的にAGO61が発現していること見出している。こうしたことから、キシロース含有糖鎖が神経の発生に重要な役割を担っていることが予想される。X線結晶構造解析によるβ1,2-キシロース転移酵素様タンパク質(aer61およびAGO61)のキシロース転移メカニズムの解明に向けて、これらタンパク質の大量発現系の構築を試みた。AGO61に関しては、未だ大量発現系の構築には未だ成功していないが、aer61に関しては、大腸菌にて低温誘導発現をシャペロン分子共存下で行うことで、安定なリコンビナントタンパク質を得ることに成功した。現在、結晶化条件の検討を行っている。一方、これまで申請者が開発してきたHPLCを利用した糖鎖分析法の適用範囲を0型糖鎖にまで拡張した。これにより、多種多様な糖鎖の構造の同定が可能な基盤技術が整った。こうしたHPLCを用いた分析法を応用することにより、Lewis X構造やHNK-1糖鎖構造を含む糖鎖が、神経幹細胞に特異的に発現していることを見出した。さらには、これら神経幹細胞特異的な糖鎖が、幹細胞性を維持する機能を担っていることを明らかにした。
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