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2011 年度 実績報告書

創薬に指向した黄色ブドウ球菌免疫かく乱タンパク質ファミリーSSLの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 22790077
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

伊藤 佐生智  名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (70308013)

キーワード黄色ブドウ球菌 / 免疫回避 / 血液凝固 / 細菌毒素 / アポトーシス
研究概要

黄色ブドウ球菌の産生する分泌タンパク質ファミリーSSL(Staphylococcal superantigen like)は14種のSSLからなり,黄色ブドウ球菌の病態形成,免疫回避に重要な役割を果たしていると考えられているが,それらの多くの機能は明らかにされていない.本研究はSSLファミリーの宿主側の標的分子を同定し,SSLと標的分子相互作用の生化学的解析と生理的意義の解析を行い,SSLの免疫回避における役割を明らかにすること,またSSLの持つ宿主側標的分子に対する特異的阻害作用を応用した,創薬を行うことを目的としている.
本年度も昨年度に引きつづき,SSL結合セファロースビーズを用いて各種試料中よりSSL結合タンパク質の探索を行った.その結果,これまでに報告した3つの標的分子(MMP-9,IgG,フィコリン)に加え,新たに4つのSSLファミリーに結合する宿主因子を見いだすことができた.すなわち,SSL10は血液凝固因子に結合し,抗凝固作用を示すことを見いだし,これについて特許出願を行った.さらにSSL10はホスファチジルセリンに結合し,アポトーシス細胞にCa非依存的に結合することを見いだし,この成果についてMicrobioligyand Imunology誌に投稿,受理された.残り2つのSSL-標的分子相互作用についてはすでに生理的意義の解析を終え,現在投稿中あるいは投稿準備中である.また,本年度はこれまでに見出したSSL-標的分子相互作用の結合メカニズムについて,各々のSSLと標的分子相互作用の糖鎖依存性,結合部位などについて解析した.その結果SSLの欠失変異体においても標的分子との結合能が認められることを確認できた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度,本年度に新たに4つのSSL標的分子を見いだし,その成果について特許出願,論文投稿(1報受理,1報投稿中)できたことからおおむね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

昨年度,本年度までは新規SSL標的分子の単離を中心に研究を進めてきたが,最終年度はこれを創薬に結び付ける研究を重点的に行いたいと考えている.しかしながら,14種あるSSLのうち,標的分子が明らかにされているものは我々および他の研究グループからの報告を合わせても5個のみであり,以前過半数のSSLの標的分子は未知のままである.したがって新規SSL標的分子の探索についても継続して行いたいと考えている.

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Staphylococcal superantigen-like protein 10 (SSL10) binds to phosphatidylserine and apoptotic cells2012

    • 著者名/発表者名
      Saotomo Itoh, Ryosuke Yokoyama, Chizuko Murase, Takemasa Takii, Tsutomu Tsuji, Kikuo Onozaki
    • 雑誌名

      Microbiology and Immunology

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] タバコ煙抽出物のマウスコラーゲン誘導性関節炎病態増悪に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      竹野聖史, 秋田邦彦, 足達実季, 伊藤佐生智, 瀧井猛将, 早川和一, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-31
  • [学会発表] Mycobacterium avium subsp.hominissuis特異的な菌体外pH上昇に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      小川翔大、瀧井猛将、山本龍二、堀田康弘、花村菜月、小川賢二、八木哲也、西森敬、大原直也、後藤義孝、藤原永年、前田伸司、伊藤佐生智、小野嵜菊夫
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] BCGワクチン接種自然加齢マウスにおけるメモリー細胞とTh1応答の解析2012

    • 著者名/発表者名
      谷口恵一, 瀧井猛将, 宮竹佑治, 林大介, 伊藤佐生智, 矢野郁也, 山本三郎, 丸山光生, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌スーパー抗原様タンパク質SSL10の血液凝固抑制作用2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤佐生智, 横山領介, 鴨志田剛, 岡田浩美, 藤井聡, 瀧井猛将, 辻勉, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌スーパー抗原様タンパク質SSL10は血液凝固因子を標的とし、血液凝固を抑制する2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤佐生智, 横山領介, 鴨志田剛, 岡田浩美, 藤井聡, 瀧井猛将, 辻勉, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      第23回微生物シンポジウム
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      20110903-20110904
  • [学会発表] The duration of efficacy of BCG vaccination in murine TB model BCGの免疫持続に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      谷口恵一, 瀧井猛将, 林大介, 伊藤佐生智, 矢野郁也, 山本三郎, 丸山光生, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会総会・学術集会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2011-11-29
  • [学会発表] 関節リウマチ患者由来滑膜細胞でのIL-1ss発現上昇に及ぼすタバコ煙抽出物の影響2011

    • 著者名/発表者名
      足達実季、山田恭平、伊藤佐生智、瀧井猛将、早川和一、小野嵜菊夫
    • 学会等名
      フォーラム2011:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2011-10-28
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌スーパー抗原様タンパク質SSL10による血液凝固抑制作用2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤佐生智, 横山領介, 鴨志田剛, 岡田浩美, 藤井聡, 瀧井猛将, 辻勉, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      フォーラム2011衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2011-10-28
  • [学会発表] タバコ煙抽出物のマウスコラーゲン誘導性関節炎病態増悪に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      竹野聖史, 秋田邦彦, 足達実季, 伊藤佐生智, 瀧井猛将, 早川和一, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      フォーラム2011衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2011-10-27
  • [学会発表] 結核ワクチン株Mycobacterium bovis BCG Tokyo-172 I, II型における酸化ストレスの影響2011

    • 著者名/発表者名
      谷口恵一, 須田早紀, 林大介, 山本三郎, 伊藤佐生智, 瀧井猛将, 小野嵜菊夫
    • 学会等名
      フォーラム2011衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2011-10-27
  • [学会発表] 黄色ブドウ球菌分泌タンパク質SSLファミリーの血漿中標的分子の探索2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤佐生智、横山領介、鴨志田剛、岡田浩美、藤井聡、瀧井猛将、小野嵜菊夫, 辻勉
    • 学会等名
      第12回Pharmaco Hematologyシンポジウム
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2011-06-18
  • [学会発表] BCG亜株の抗原提示能の差異に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      谷口恵一、林大介、伊藤佐生智、矢野郁也、山本三郎、瀧井猛将
    • 学会等名
      第86回結核病学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-06-03
  • [学会発表] トリ型結核菌亜種hominissuisのアンモニア産生と宿主細胞内生存能との関連性2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤佐生智, 山本龍二, 堀田康弘, 小川賢治, 八木哲也, 大原直也, 瀧井猛将
    • 学会等名
      第86回結核病学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-06-03
  • [図書] Understanding Tuberculosis-New Approaches to Fighting Against Drug Resistance2012

    • 著者名/発表者名
      Takemasa Takii, Yasuhiro Horita, Ryuji Kuroishi, Taku Chiba, Mashami Mori, Tomohiro Hasegawa, Tastuya Ito, Tatsuaki Tagami, Tetsuya Ozeki, Saotomo Ito, Kikuo Onozaki
    • 総ページ数
      10
    • 出版者
      The Potential Therapeutic Usage of Dithiocarbamate Sugar Derivatives for Multi-Drug Resistant Tuberculosis
  • [産業財産権] 抗凝固薬及びその用途2011

    • 発明者名
      伊藤佐生智, 瀧井猛将, 小野嵜菊夫, 横山領介, 鴨志田剛, 辻勉
    • 権利者名
      名古屋市立大学
    • 産業財産権番号
      特願2011-90473
    • 出願年月日
      2011-04-14

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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