研究課題
本年度は、IIA型分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2-IIA)およびケモカイン群の発現を調節するリン脂質性生理活性脂質(Phospholipid X)の同定とこのPhospholipid Xの生体における機能を明らかとすることを目指し検討を行った。ケモカイン群の発現を制御するPhospholipid Xの検出するため、炎症性サイトカインで刺激した12/15-リポキシゲナーゼ過剰発現3Y1細胞より調製した総脂質画分を逆相高速液体クロマトグラフィーにより分離し、各フラクションにおけるケモカイン群の誘導活性を定量的PCRにより解析した。その結果、Cc1ケモカインやCxc1ケモカイン中の一部を誘導する活性が、これまで検出していたPhospholipid X活性(sPLA2-IIAの発現誘導を指標に検出していた)と比較して、より極性の高い溶出画分に溶出されることを見いだした。従って、これらのケモカインの発現は、sPLA2-IIAの発現を調節するPhospholipid Xとは異なる生理活性脂質により制御を受ける可能性が考えられた。現在、これらの生理活性脂質の同定を目指してさらに検討を続けている。生体内におけるPhosholipid Xの機能を解析することを目的とし、LPS投与マウス各臓器にケモカインmRNA発現に対するAACOCF3 (Phosholipid Xの生合成を阻害する)の効果を検討した。その結果、肺、肝臓、胸腺で誘導される一部のケモカインで、AACOCF3処理により部分的に抑制される傾向があることが示された。今後は、これらの事象について、組織学的・細胞生物学的・脂質生化学的に解析して行きたいと考えている。
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J.Lipid Res.
巻: 51 ページ: 3003-3015