研究課題
発生過程を統合的に制御する鍵因子として働くWntシグナルの成熟個体における調節異常はガンや生活習慣病などのシグナル伝達病や老化の病態に関与する。一方、硫酸化糖鎖はプロテオグリカンとして細胞表面に存在し、シグナル伝達の調節因子として重要であるため、この合成異常により種々のシグナル伝達が乱れ、発生異常や疾患の原因となる。Wntシグナルの強弱を微細に調節することは、細胞の運命決定、恒常性の維持、代謝調節のために重要であるが、申請者らは、糖鎖暗号の形成に関わる硫酸化糖鎖合成酵素を厳密に制御することが、Wntシグナルの微細調節機構の分子基盤を成す可能性を示し、シグナル伝達病の発症機構の解明を目指す。本年度は、Wntシグナルの調節に関わるコンドロイン4-O-硫酸基転移酵素-1(C4ST-1)の発現調節機構についても調べた。(1)プロモーター領域の欠失変異体の解析によって、Wntシグナル制御下でC4ST-1遺伝子の転写調節に関わるDNA配列を絞り込んだ。(2)メチル化阻害剤やアセチル化阻害剤を用いて、Wntシグナル制御下のC4ST-1遺伝子の発現調節がエピジェネティックな因子による可能性について検討した。(3)Wnt-3aの受容体であるFrizzled-4とEGFPの融合タンパク質の発現プラスミドを構築し、硫酸化糖鎖合成酵素遺伝子の変異により細胞表面の硫酸化糖鎖の量に違いがあるマウス線維芽細胞クローン株にFrizzled-4-EGFPを導入し、刺激に伴う受容体の挙動を検討した。
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