研究課題
GEX1Aは、協和発酵キリン(株)により放線菌の代謝物から単離同定された抗腫瘍活性を持つ低分子化合物である。GEX1Aの特徴的な生理活性として、スプライシング反応阻害や細胞周期の停止などがある。GEX1AをHeLa細胞に添加するとサイクリン依存性キナーゼCdk2の阻害因子であるp27とともに、スプライシング反応阻害によって形成されるp27のC末端欠損型が蓄積する。スプライシング反応阻害剤としてspliceostatin Aおよびpladienolideがすでに報告されているが、GEX1Aの作用メカニズムの違いはわかっていない。そこでまずGEX1Aの標的タンパク質を探索するために、GEX1Aのビオチン付加体に光反応基を導入した誘導体を作成し、光親和性標識試薬を作成した。その結果、標的タンパク質はSAP155であることを明らかにした。SAP155は、イントロンを除去するスプライソソーム構成要素のU2snRNPに含まれるタンパク質である。スプライシング反応の進行には、キナーゼであるCdk2とホスファターゼであるPP1によるSAP155の可逆的なリン酸化制御が必須であることが報告されている。そこで次に、GEX1Aを添加することによるスプライシング反応阻害とSAP155のリン酸化制御の関連を調べた。SAP155のリン酸化部位を特異的に認識する抗体で確認したところ、GEX1A添加時にSAP155のリン酸レベルが低下することを見出した。
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