本研究目的はH20-21科研費(若手研究スタートアップ)研究成果として合成した光学活性DCP-LAに関する発展研究として、1)高純度かつ大量合成可能な合成ルートを構築し、in vivoを中心とした薬理評価および簡易安全性試験を行い、DCP-LAの各光学活性体間の構造活性相関を明確にし、抗認知症治療を目指す薬物創出を目指すこと、2)効率的な関連誘導体合成ルートを構築し、構造活性相関をより明確にすること、3)すでに合成済の光学活性体を用いアフィニティ樹脂を合成し、今後得られる活性情報および各誘導体の特異的結合蛋白質との比較から、作用メカニズムを解明し、抗認知症治療に貢献できる新規創薬ターゲットを創出すること、の3点にある。 22年度は研究計画1および3の検討を中心に行った。まずで研究計画1に記した大量合成法の開拓研究においてはlipaseを用いた選択的acyl化法を用いることで、目的の絶対立体化学を有するジシクロプロパン鍵中間体を高純度で取得する方法を開発した。現在、鍵中間体に対し、側鎖導入の検討を行っており、合成ルートが確立次第、23年度の目標となる大量合成および研究計画2の誘導体合成へと着手する計画である。 一方、研究計画3のターゲット探索研究に関して、本年度は準備段階として、アフィニティ樹脂を用いたターゲット捕獲手法および質量分析測定による結合蛋白質の同定手法を確立することを目的とした。種々の検討の結果、微量の蛋白質でも同定が可能である手法を確立した。現在、本研究の目的達成に向けて、光学活性DCP-LAのアフィニティ樹脂を合成しており、23年度中に合成を完了し、DCP-LAのターゲット探索研究に着手する予定である。
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