現在、PETプローブ合成において炭素-炭素結合を形成する高速化学反応のために金属触媒としてパラジウム錯体を、前駆体としてスズ化合物あるいはホウ素化合物を用いている。反応後にHPLCで精製してPETプローブを合成しているが、特にヒトへの臨床応用を考えたときに金属化合物の最終製剤への混入を抑えることは非常に重要なことである。そこで、本研究提案では金属触媒を固相に担持し、ろ過を行うことにより反応系中から容易に除去することのできる系を考案した。具体的には、Suzuki-Miyauraカップリング反応が適応される基質において、固相担持パラジウム触媒を用いて高速メチル化反応を行うこととした。本年度は当初計画である固相担持触媒の高速化学反応への適応を試みた。その結果、予想通り反応効率は均一系触媒と比較して大きく低下しているものの、反応自体は低収率ながらも進行することがHPLCによる反応液の分析から示された。そのため、触媒量、温度条件、溶媒条件等の最適化を行うことにより実用性が出る範囲まで効率化することは可能であると考えている。現時点では、反応基質は市販のフェニルボラン酸類を用いているが、来年度以降、様々な基質を用いて反応を試していく予定である。また、計画では来年度に予定されていた反応容器の開発も先行して行った。しかしながら、反応容器下部への直径約5mm、長さ約5mmのグラスフィルタを取り付けることはかなり技術的に困難なことが判明した。そこで、反応容器の形状を含めて現在、再検討を行っている。
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