研究課題
PETは非侵襲的に生体機能のイメージングを行うことが出来る強力なツールである。そのイメージングを行うために、様々なPETプローブの開発がおこなわれてきている。現在、PETプローブ合成において炭素-炭素結合を形成するために、金属試薬であるパラジウム錯体を触媒として、前駆体としてスズ化合物あるいはホウ素化合物を用いている。通常、高速化学反応後にHPLCあるいはショートカラム等で目的とするPETプローブを精製しPETプローブを合成している。一方、ヒトへの臨床応用を考えたときに金属化合物の最終製剤への混入は安全性の面から無くすことが必須である。そこで、本研究提案では金属触媒を固相に担持し、ろ過を行うことにより反応系中から容易に金属触媒を除去することのできる系を考案し、実用化を目的としている。Suzuki-Miyauraカップリング反応が適応される基質において、固相担持パラジウム触媒を用いて高速メチル化反応を行うこととした。本年度は、実際のPETプローブ合成に使用する合成装置に固相触媒対応型の反応容器を作ることを目指した。昨年度に引き続き、様々な手法を検討したものの、具体的に実用的な反応容器を開発できていない。そのために、現状の合成装置に対応したうえで、当初計画とは異なる形状になるが、他の材質などを含めた検討を行っている。また、固相担持パラジウム触媒に関しても、近年様々な担体が市販されていることから、これらの反応剤を用いた反応の検討も行っている。反応性が高い固相担持パラジウム触媒を用いることで、加熱不要あるいは穏やかな条件での反応が可能であれば、反応容器の材質に対する制限が減ることを期待している。
3: やや遅れている
当初計画していた、グラスフィルター付きの反応容器が技術的に制作困難であり、放射性条件下での反応を行うことが出来なかった。そのために、形状、材質を変更した反応容器製作を現在行っている。
当初計画の反応容器の製作が困難なことから、制作可能な反応容器形状、およびその形状において可能な反応を開発する必要が出てきた。そのために、加熱条件を限りなく温和にすることで、ポリプロピレン(PP)製の反応容器を使用することが出来るかを検討している。PP製反応容器であれば、加熱するには形状的に不向きではあるが、下部にフィルターを取り付け、バブリング、溶液移送が可能であると考えている。来年度にかけては反応条件の最適化、および放射性条件下での反応応用を進めていきたい。
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Journal of Nuclear Medicine
巻: (in press)