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2011 年度 実績報告書

間葉系幹細胞の糖鎖を指標とした同等性・同質性評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22790125
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

橋井 則貴  国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (20425672)

キーワード再生医療 / 分析化学 / 糖鎖生物学
研究概要

近年,有効な治療法がない疾患において,幹細胞を培養・加工して治療に用いる細胞組織加工医薬品への期待が高まっている.本格的な実用化に向けて,幹細胞を分化させた細胞(加工細胞)が目的とする方向に分化していることを確認するための手法,即ち,幹細胞と加工細胞を識別する技術の開発が不可欠である.糖鎖は,細胞の分化や増殖等の様々な生命現象に関係することが報告されており,細胞の識別に利用できる可能性が高い.昨年度我々は,液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)による糖鎖プロファイリング法及び主成分分析を組み合わせ手法により,細胞組織加工医薬品への応用が期待されているヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)由来分化誘導細胞の糖鎖プロファイルは,分化初期のステージから変化すること,糖鎖プロファイルに基づきMSCと分化誘導初期細胞を識別できることを明らかにした.本年度は,LC/MSにより得られた糖鎖プロファイルの情報に基づく多変量解析(S-plot解析)により,MSCと分化誘導細胞の識別に寄与した糖鎖を特定するとともに,発現量に変化のみられた糖鎖についてLC/MSのピーク面積から差異解析を行った.その結果,神経様分化細胞では,フコシル化トリシアロ3本鎖,フコシル化ジシアロ2本鎖及びジシアロ2本鎖複合型糖鎖がそれぞれ増加し(3.8,1.6及び3.5倍),高マンノース型糖鎖(M9及びM8)がそれぞれ減少していること(0.5及び0.7倍)が明らかとなった.骨様分化細胞についても同様に検討した結果,フコシル化ジシアロ2本鎖複合型糖鎖が僅かに増加し(1.2倍),高マンノース型糖鎖(M9,M8及びM7)がそれぞれ著しく減少(0.3,0.5及び0.5倍)していた.以上の結果,変化のみられた糖鎖は,MSCの分化誘導初期過程において,目的とする方向に分化していることを確認するための指標として利用できる可能性が示唆された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Glycomic analysis by liquid chromatography/mass spectrometry2012

    • 著者名/発表者名
      N. Hashii, S. Nakazawa, N. Kawasaki
    • 雑誌名

      YAKUGAKU ZASSHI

      巻: 132 ページ: 489-497

    • 査読あり
  • [雑誌論文] α1-3/4 fucosylation at Asn 241 of β-haptoglobin is a novel marker for colon cancer : A combinatorial approach for development of glycan biomarkers2012

    • 著者名/発表者名
      Park, S.Y., Lee, S.H., Kawasaki, N., Itoh, S., Kang, K., Hee, Ryu, S., Hashii, N., Kim, J.M., Kim, J.Y., Hoe, Kim, J.
    • 雑誌名

      Int.J.Cancer

      巻: 130 ページ: 2366-2376

    • 査読あり
  • [学会発表] 糖鎖プロファイルによる間葉系幹細胞の分化初期における細胞の識別2011

    • 著者名/発表者名
      橋井則貴,黄笑宇,栗林亮佑,川崎ナナ
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] 液体クロマトグラフィー/質量分析及び主成分分析による糖鎖プロファイルのデータマイニング法の評価2011

    • 著者名/発表者名
      橋井則貴,原園景,栗林亮佑,中澤志織,川崎ナナ
    • 学会等名
      第59回質量分析総合討論会
    • 発表場所
      ホテル阪急エキスポパーク(大阪府)
    • 年月日
      2011-09-15

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公開日: 2013-06-26   更新日: 2014-09-16  

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