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2011 年度 実績報告書

味細胞におけるアデノシンの生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22790134
研究機関京都薬科大学

研究代表者

西田 健太朗  京都薬科大学, 薬学部, 助教 (20533805)

キーワード味細胞 / アデノシン / 味覚
研究概要

味覚の認識に関わる味蕾にはI~IV型に分類される味細胞が集積しており、ATPはそれら細胞間において重要な情報伝達物質として機能するとされている(Fingeretal.,2005)。味刺激はII型味細胞に多く発現する味覚受容体を介して受容され、それにより細胞外に放出されたATPが前シナプス細胞であるIII型味細胞に情報を伝達し、さらにその情報が鼓索神経などの感覚神経へ伝達されることにより味覚が生じる。このようなATPは、グリア様細胞である1型味細胞膜上に発現するATP分解酵素nucleoside triphosphate diphosphohydrolase 2(NTPDase2)により速やかにヌクレオシドに代謝されると考えられている(Diannaetal.,2006)。これまでに我々は、ヌクレオシド輸送系の1つであるequilibrative nucleoside transporter 1(ENT1)が味細胞に発現し、ATP代謝産物としてのadenosineの細胞外濃度制御に重要な役割を担うことを示唆した。一方、adenosine自体がその受容体を介して味覚情報伝達に関与する可能性も考えられる。そこで本年度は、ラット有郭乳頭におけるadenosine受容体の発現局在及びその機能について検討した。Realtime PCRにより、ラット有郭乳頭においてアデノシンA2b受容体の発現が認められ、免疫組織染色により、アデノシンA2b受容体の免疫活性が主に味蕾のIP3R3陽性II型味細胞、そして一部GAD67陽性III型細胞において認められた。さらに、有郭乳頭を含む上皮組織において、500μMアデノシン処理により組織内のcAMP濃度が有意に増加した。これらのことより、ラット有郭乳頭味蕾部位において、ATPの代謝産物であるアデノシンがA2b受容体を介して味細胞間の情報伝達に関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラット有郭乳頭におけるアデノシン受容体(A1,A2a,A2b and A3)の発現レベルを明らかにし、さらに免疫組織染色によりII型味細胞におけるアデノシンA2b受容体の発現局在、A2b受容体の機能的発現まで解明することができたため。

今後の研究の推進方策

味細胞におけるアデノシンの生理的役割、特に、味覚情報伝達機構におけるアデノシンの役割を明らかにすることを目的に、アデノシンA2b受容体活性化が味覚情報伝達機構に与える影響についての詳細な解析を推進する必要がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Peroxynitrite treatment reduces adenosine uptake via the equilibrative nucleoside transporter in rat astrocytes2011

    • 著者名/発表者名
      Tanaka A.
    • 雑誌名

      Neurosci.Lett.

      巻: 498 ページ: 52-56

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2011.04.060

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Microglial zinc uptake via zinc transporters induces ATP release and the activation of microglia2011

    • 著者名/発表者名
      Higashi Y.
    • 雑誌名

      Glia

      巻: 59 ページ: 1933-1945

    • DOI

      10.1002/glia.21235

    • 査読あり
  • [学会発表] Expression of adenosine receptors in the rat circumvallate papillae2012

    • 著者名/発表者名
      土肥由香里
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] ラットの旨味感受性に対するオキサリプラチンの影響2011

    • 著者名/発表者名
      西田健太朗
    • 学会等名
      日本味と匂学会第45回大会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂
    • 年月日
      20111003-20111005
  • [学会発表] ラット有郭乳頭におけるヌクレオチド代謝酵素及び輸送担体の発現解析2011

    • 著者名/発表者名
      西田健太朗
    • 学会等名
      第54回日本神経化学会大会
    • 発表場所
      瑠璃光(山代温泉)
    • 年月日
      2011-09-27
  • [学会発表] 有郭乳頭におけるヌクレオチド代謝酵素の発現解析2011

    • 著者名/発表者名
      加藤淳貴
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2011-09-21

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公開日: 2013-06-26  

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