In vitro脂肪細胞肥大評価モデルの構築 心血管系疾患の危険因子である高度肥満過程において必須となる脂肪細胞肥大化の機構は、未解明な部分が多い。また、その機構を簡便にモデル化した実験系も存在しないのが現状である。そこで、脂肪細胞肥大化のin vitro評価モデルを構築することを目的とした。 1)MEST遺伝子の発現増大について In vivoにおいて肥満時に脂肪細胞で発現が顕著に増大するMEST遺伝子が、in vitroにおける脂肪細胞肥大化の指標となりうるかどうかを検討した。脂肪細胞の分化機構の研究で汎用されるマウス前駆脂肪細胞株3T3-L1およびマウス腹部脂肪組織より独自に樹立した前駆脂肪細胞(Adipocyte-derived stromal cells: ADCs)を用いて、その分化誘導時のMEST遺伝子発現変動について検討した。その結果、いずれの細胞においても分化誘導刺激によりMEST遺伝子の発現が増大したが、特にADCsの発現増大が顕著であった。また、その発現は、分化誘導初期に増大した後に一旦は減少するものの、2~3週目に再度発現が上昇するという、極めてユニークな発現変動を示すことが分かった。 2)3次元培養モデルの構築 シャーレ内の単層による脂肪細胞培養では、脂肪細胞の高度な肥大化は認められないため、コラーゲンゲル内における脂肪細胞分化を行い、脂肪細胞の肥大化モデルとなりうるかを検討した。その結果、単層培養ではほとんど認められない単胞状の脂肪細胞が認められ、高度な脂肪蓄積が認められた。
|