研究概要 |
リボソーム型人工デリバリーシステム(Multifunctional Envelope-type Nano Device:MEND)によってin vivo腫瘍組織でマイクロリボ核酸の発現を制御するには、核酸を生体内の酵素による分解を防ぐためMENDにmiRNAやmiRNAに対するアンチセンス核酸anti-miRNA oligonucleotide(AMO)を効率的に封入する必要がある。またmiRNAやAMOを内封したMENDは、担癌モデルマウスに静脈内投与した後、腫瘍組織に到達し標的細胞に取り込まれ、機能を発揮させることが求められる。 モデル核酸としてsiRNA封入MENDによる癌治療への展開を試みた。pH応答性膜融合ペプチドGALAのアミノ酸短縮short GALA(shGALA)を開発し、shGALAをMEMDに導入することで、細胞内動態、特にエンドソーム脱出が促進され飛躍的に活性を向上させることに成功した。さらにin vivo皮下移植担癌モデルにおいて、静脈内投与したところ、がん組織で標的遺伝子をノックダウンし抗腫瘍効果を誘起することにも成功した(Sakurai, Y, Hatakeyama H, et al. Biomaterials 2011)。 さらにマイクロリボ核酸制御可能なAMOの、MENDへの効率的なパッケージング法の確立を試みた。その結果、80%程度の高い封入効率を達成する調製法を見出した。さらに、骨肉腫を移植したin vivo担癌モデルへ静脈内投与すると、AMO単独よりも多くのAMOをがん組織へ送達し、標的miRNAを抑制することにも成功した。今後はより詳細な機能評価と抗腫瘍効果を検討する予定である。
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