C型肝炎治療リバビリンの薬効発現ではその血中濃度が大きな規定因子となると考えられており、リバビリンの血中濃度はその吸収量が大きな規定因子となる。これまでにリバビリンは腸管においてpurine nucleoside phosphorylase (PNP)により代謝を受けると推測されているが、これまでに腸管PNPのリバビリン代謝における役割は解析されていない。そこで、本研究ではPNPのリバビリン代謝における役割を明らかとすることを目的とし、さらにPNP遺伝子に高頻度に存在する遺伝子多型PNP p.51G>Sのリバビリン代謝における機能を明らかとすることを目的とした。 PNP cDNAをクローニングし、pET発現システムを用いて精製PNPを作製した。HPLC法によりPNPのリバビリン代謝活性を解析したところ、そのKm値およびVmax値はそれぞれ887.1±93.5μM、110.6±18.3nmol/mg protein/minであり、PNPは高いリバビリン代謝活性を持つ事が明らかとなった。また同様に、pET発現システムを用いて精製PNP p.51G>Sを作製してリバビリン代謝活性を解析したところ、PNP p.51G>SのKm値およびVmax値はそれぞれ942.0±76.3μM、128.4±7.8nmol/mg protein/minであり、野生型PNPとほぼ同等であった。 以上の結果から、PNPは高いリバビリン代謝活性を持つことが明らかとなった。また、PNP遺伝子に存在するPNP p.51G>Sはリバビリン代謝に影響を及ぼさないことが明らかとなった。したがって、PNPの発現量や機能の個人差は腸管におけるリバビリン吸収量を規定する要因となると考えられる。今後PNP p.51G>S以外のPNP遺伝子の遺伝子多型について薬理ゲノム学的解析を推進する必要があると考えられた。
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