6-メルカプトプリン(6-MP)の投与量や治療による副作用と遺伝情報が関連しているかについて遺伝子解析と患者臨床情報から評価を行った。 研究協力施設にて治療を行っている小児白血病患者65例に対し、インフォームドコンセントを取得し、6-MP代謝関連酵素であるThiopurine S-methyltransferase (TPMT)、Inosine triphosphate pyrophosphatase (ITPA)、Methylene tetrahydrofolate reductase (MTHFR)の酵素活性を減弱させる一塩基多型の解析、患者臨床情報収集を行った。 TPMT遺伝子多型はヘテロ変異型2例であった。ITPA遺伝子多型はヘテロ変異型19例、ホモ変異型2例であった。MTHFR遺伝子多型はC677Tでヘテロ変異型26例、ホモ変異型12例、A1298Cでヘテロ変異型12例、ホモ変異型2例であった。 6-MPによる副作用との関連性は、ITPAの遺伝子変異を持つ患者群では治療中にASTおよびALTの上昇した患者が10例(47%)と野生型の患者4例(10%)に比べて統計的有意に多かった。他の6-MP代謝関連酵素の遺伝子型と副作用の関連性については有意な関連性は認められなかった。 本研究により、小児白血病の6-MPによる治療において、患者の持つ遺伝要因により副作用の発現に影響があることが示唆された。臨床で6-MPによる治療を予定している小児白血病患者に治療前に遺伝子解析を行い、副作用リスクを明らかにすることで、副作用への早期の対応ができることが可能となり、治療中断を最小限にすることで、治療効果の向上につながると考えられる。
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