研究課題
ヒトには本来、外部から侵入した異物を排除して生体を守る免疫システムが備わっているが、一端、免疫バランスに破綻が生じると、感染症や自己免疫疾患など様々な疾患を引き起こすことが知られている。近年、これら免疫疾患の克服に向けて、免疫を正負に自由自在に制御し、免疫応答のバランスを是正し得る"Immunomodulator"の開発が待望されている。そこで本研究では、免疫応答制御の根幹を担うサイトカインに着目し、それらの免疫誘導機序の解析や機能改変型サイトカインの創製を通じて、免疫誘導療法の最適化を図った。本年度は、独自の機能性人工蛋白質創製技術であるファージ表面提示法のさらなるシステムアップを目的に、質の高いファージライブラリの作製、及び結合力に基づくセレクションであるパンニング条件の最適化を行った。また、免疫誘導能に優れたサイトカインであるインターロイキンやインターフェロンの特性評価を行い、粘膜ワクチンアジュバントとしての可能性を検証した。さらに将来的により有効性、安全性に優れた"Immunomdulator"として開発することを念頭に、機能改変インターフェロンの創製を試みた。その結果、レセプター結合領域に位置する計5箇所のアミノ酸を網羅的に他のアミノ酸へと置換した構造変異インターフェロン提示ファージライブラリを作製に成功した。今後は、最適条件下でパンニングを行うことで、レセプターに対して様々な結合特性を有する機能性人工インターフェロンを創出し、その中から、抗ウイルス活性など粘膜免疫制御に優れた変異体をスクリーニングする予定である。
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Biomaterials
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