研究概要 |
成獣および発生過程に嗅覚関連組織において、NLRR4遺伝子の発現解析を行った。成獣では、NLRR4の発現は、嗅上皮では嗅細胞に、嗅球ではMitral cell, tufted cell layerに、嗅皮質ではpiriform cortexで認められた。発生過程の嗅上皮において、胎生14.5日(E14.5)から嗅神経細胞に発現が認められ、発生と共に増強され、成獣までその発現は維持された。嗅球では、E14.5から発現し始め、生後0日(P0)ごろにピークを迎えその後減少することが明らかにした。また、その発現はmitral cell layerとexternal granule layerの一部で認められた。また、二重染色からNLRR4発現細胞はReelinを発現しNeuNを発現していないことから、NLRR4はmitral cellとtufted cellに排他的に発現していることを明らかとした。嗅皮質においてはE13.5からpirifrom cortexで発現し始め、発生過程において増強され、その発現は成獣においても維持されることを明らかにした。以上の結果はNLRR4が嗅覚関連組織の発生の関わっていることを示唆した。NLRR4はその分子構造から細胞接着因子として働いていることが予想され、発生過程において軸索誘導やシナプス形成に関与していることを示唆されている。本研究において、現在までに明らかとなっている海馬や末梢神経形成の機能のみならず、嗅覚系の発生にも重要な役割を担っている可能性を示唆した。次年度は、NLRR4遺伝子欠損マウスを用いて嗅覚系発生のおけるNLRR4の機能解析を行なう予定である。
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