研究概要 |
nuclear envelopeを用いた研究の途上、マウス膵臓腺房細胞に存在するCa^<2+>依存性の電位依存性K^+チャネル(maxiK/BK)の、小胞体膜中における向き(配向)が、通常考えられているものと逆(通常は細胞質中に細胞内領域を持つ向きに入っているが、我々の系では、細胞質側に細胞外領域を向けている)であることを見出した(Maruyamaら、2003,2005)。この現象は、今までの知見とは一致しない、非常に興味深いものであり、まだ知られていない、未知の膜タンパク質輸送機構が存在する可能性がある。本研究では、代表者が所属する研究室が所有する、nuclear envelopeの単離、およびそれを対象とした電気生理学的計測の技術を用いて、新規の膜タンパク質輸送機構が存在する可能性を探っている。 本年度は、この現象の一般性を探るべく、今までマウスの膵臓腺房細胞でのみ行われていた実験を、HEK(human embryonic kidney)細胞で行うため、maxiKを発現したHEK細胞におけるnuclear envelopeの単離、それに対する免疫染色法の適用、および電気生理学的計測のための条件検討を行った。現在得られている予備的なデータによると、HEK細胞のnuclear envelopeにおいても、maxiKチャネルタンパク質の、小胞体膜中における配向は、通常考えられているものと逆である事が示唆されている。
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