研究概要 |
横紋筋におけるL型Ca^<2+>チャネル(LTCC)は,形質膜・筋小胞体膜接合部(接合部)でリアノジン受容体とクラスターを形成している。心筋のLTCCが接合部に局在することは効率的な興奮収縮連関に不可欠であるが,LTCCがどのように接合部へ局在するかは明らかでない。骨格筋のLTCCを構成するα1sサブユニットを欠損したマウス由来の骨格筋細胞株GLTは,正常な興奮収縮連関を起こすことが出来ない。しかしGLT細胞にα1sを強制発現させると,α1sは接合部に集積しVDCRを生じる。また驚くべきことに,GLT細胞株に心筋細胞のLTCCを構成するα1cサブユニットを強制発現させても,α1cサブユニットはクラスターを形成しCICRを生ずる。本研究では,このGLT細胞に着目し,心筋LTCCが接合部に局在する機序を明らかにするための検討を行った。α1cサブユニットの細胞内領域を,接合部に局在しないことが知られているP/Q型Ca^<2+>チャネルのα1Aサブユニットおよびイエバエのα1Mサブユニットに置換したキメラ遺伝子を作製した。これらの遺伝子をGLT細胞に発現させた結果,C末端のキメラではクラスターの形成が認められなくなった。さらに詳細な欠失変異体,キメラについて検討を行った結果,α1cサブユニットのC末端に存在する1677-1708番目のアミノ酸残基が,クラスタリングに必要であることが明らかになった。今回同定したモチーフの詳細な機能は現在不明であるが,クラスタリングに関わる他のタンパク質との相互作用に関わる可能性がある。
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