研究課題
小児てんかんは、100から150人に1人の割合で起こり、その一因としてイオンチャネルの遺伝子異常が挙げられている。本研究では、候補として見出したTRPP3の機能解明および、小児てんかん患者から見出されたTRPP3内の変異体の機能異常を探った。本年度は、野生型TRPP3の機能評価と小児てんかん患者から見出された変異体の作製およびそれらTRPP3変異体の機能解析を中心に発現系を用いた実験系で機能解析を行った。その結果、TRPP3の電位依存性は、TRPP3内のS4に存在する電位センサー様の陽電荷アミノ酸が重要であることを確認した。また、電位センサーの陽電荷アミノ酸は、pHによって解離定数が決まっているためにpHと電位依存性の関係があることを予想した。電位センサーに存在する陽電荷のアミノ酸であるリジンをアルギニンやヒスチジンに置換し、それらのpH依存性がそれぞれのアミノ酸の解離定数に従うことを確かめた。小児てんかん患者から見出された変異体の機能評価では、17種の変異体の作成に成功した。これらの発現を免疫染色法およびウェスタンブロット法により細胞膜付近の発現を確認した。機能評価においては、いくつかの変異体で機能の低下が確認された。てんかんの際には、脳におけるpHや温度の重要性が知られている。そのために、本研究で得たTRPP3の機能評価の結果と変異体の機能評価の結果を今後、その関連について考察することでてんかん時におけるTRPP3の役割を見出したい。
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