研究課題
本研究の目的は、心臓一拍毎の心筋酸素消費量と発生する総機械的エネルギーの関係、およびカルシウムイメージングによる全心臓でのカルシウム動態の同時計測計を確立することである。そこで、ラット血液交叉灌流摘出心臓を用いて、左心室圧-容積関係から総機械的エネルギーを求め、同時に冠循環の動静脈血液酸素濃度較差のリアルタイム測定により心筋酸素消費を算出する。カルシウムイメージングは、遺伝子組換え型蛍光カルシウムプローブ、G_CaMPによる丸ごと心臓でカルシウムイメージングを行う。現在までに、G-CaMPトランスジェニックラットの作製に成功したが、初代G-CaMPトランスジェニックラットのカルシウムイメージングでは蛍光強度が弱く変化率も小さかった。さらにmotion artifactによって正確なデータを得ることが大変困難であった。そこで、改良型G-CaMPとDsRed(赤色蛍光)の2つの遺伝子を同時発現するトランスジェニックラットを作製した。つまり改良型G-CaMPにより蛍光強度変化率の上昇とDsRedによるmotion artifactの除去により、問題を解決することにした。現在、新たなトランスジェニックを作製し、繁殖中である。加えて、ブレインビジョン社製の高速イメージングシステムを用いて、2波長による計測ステムの構築と条件設定を行っている。また予備実験として、蛍光色素であるFluo-3による心臓全体でカルシウムイメージングを行っている。この実験系が完成すれば、心臓において圧負荷や容積負荷などのストレス時に、カルシウム動態とエネルギー代謝の関係を観察することが可能となり、従来考えられていた理論の立証や、さらには心疾患の病態生理の解明等に活躍が期待できる。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
J Physiol Sci
巻: 62(3) ページ: 221-31
DOI:10.1007/s12576-012-0200-4
Biochem Biophys Res Commun
巻: 419(2) ページ: 431-435
doi:10.1016/j.bbrc.2012.02.041
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol
巻: 302(6) ページ: G588-597
doi:10.1152/ajpgi.00284.2011
Am J Physiol Heart Circ Physiol
巻: 301(5) ページ: H2154-2160
doi:10.1152/ajpheart.00483.2011
Am J Physiol Cell Physiol
巻: 302(5) ページ: C757-765
http://www.naramed-u.ac.jp/~2phy/