研究概要 |
本研究までに、内分泌細胞におけるTASK1チャネルの機能調節にエンドサントーシスが関与することが示唆された。本年度は、NGF刺激に伴うTASK1チャネルエンドサントーシスの分子機序の解明を試みた。まず、TASK1チャネルのエンドサイトーシスの経路について、エンドサイトーシス阻害剤や強制発現系を用いて解析した。その結果、TASK1チャネルは、クラスリン依存性エンドサイトーシスによって制御されていることが示唆された。次に、クラスリン依存性エンドサイトーシスに重要なアミノ酸残基の同定を行った。TASK1チャネルに存在する翻訳後修飾部位、蛋白質結合ドメインのコンセンサス配列のうち、317,340番目のTyr残基と263,264番目のジロイシンモチーフに着目し、GFPを融合した各変異体(Y317F,Y340F,L263A,L264A)を作製した。各変異体のNGF刺激に伴う細胞内局在変化を解析した結果、ジロイシンモチーフがクラスリン依存性エンドサントーシスに関与することが示唆された。さらに、TASK1チャネルのクラスリン依存性エンドサイトーシスを制御するシグナル伝達系について解析した。TrkA下流因子の各種阻害剤を用いた解析の結果、TASK1チャネルのエンドサイトーシスには、1)TrkAのチロシンキナーゼ活性が必須であること、2)PI3キナーゼ、PLCγ、PKCが直接的あるいは間接的に関与すること、3)MAPKのMEKは直接関与しないこと、が示唆された。以上の結果から、TASK1チャネルは、TrkAおよびその下流因子;PI3キナーゼ、PLCγ、PKCの活性化依存的に自身のジロイシンモチーフを介して、クラスリンコートピットへと移行し、エンドサイトーシスされることが示唆された。
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